電車遅延や体調不良のとき、上司にどう連絡する?勤務状況のビジネス日本語
日本で働いていると、電車が遅れたり、体調がよくなかったりして、
「いつもどおりに出社できない日」もあります。
そんなとき、上司にどう連絡すればよいか、
日本語での言い方に迷う人も多いと思います。
この記事では、元留学生のアンさんと佐藤部長の会話をとおして、
「遅刻」と「在宅勤務」の連絡のしかたを、
やさしいビジネス日本語で整理してみます。
シーン1:電車遅延で遅刻するときの電話
場面
朝、電車の遅延で出社が遅れそうになったアンさんが、始業前に佐藤部長へ電話をかけます。
会話モデル①:遅刻の連絡(電話)
アン:(電話)
「おはようございます。営業部のアンです。
ただいま、お時間よろしいでしょうか。」
佐藤部長:
「おはよう。どうしたの?」
アン:
「申し訳ありません。電車の遅延で、出社が遅れそうです。
本社には、9時半ごろ到着する見込みです。」
佐藤部長:
「そうか。今日は9時からのミーティングがあるけど、内容は確認できている?」
アン:
「はい。昨日まとめた資料は、すでに共有フォルダにアップしております。
ミーティングの前半は、先にご確認いただければと思います。」
佐藤部長:
「わかった。到着したら、すぐ私の席に来てください。」
アン:
「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。」
シーン2:体調不良で在宅勤務に切り替えるときのチャット
場面
朝から少し熱があり、会社のルールにしたがって在宅勤務にしたいとき。
アンさんは、社内チャットで佐藤部長に連絡します。
会話モデル②:在宅勤務への切り替え(社内チャット)
アン → 佐藤部長
佐藤部長
おはようございます。営業部のアンです。本日、朝から少し熱があり、念のため在宅勤務に切り替えさせていただきたいと考えております。
業務は通常どおり対応可能で、9時からオンラインで待機いたします。
本日中の対応が必要な案件は、◯◯様への見積書提出と、△△プロジェクトの進捗報告です。在宅勤務に変更してもよろしいでしょうか。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
佐藤部長 → アン
アンさん
了解しました。本日は在宅勤務で対応してください。
体調が悪化した場合は、すぐに連絡してください。9時のオンラインミーティングで、進捗を共有しましょう。
アン → 佐藤部長
承知しました。
9時のミーティングまでに、資料を整理しておきます。
ありがとうございます。
ミニ解説①:勤務連絡は“ストーリー”より「いつ・どこで・どうするか」
勤務状況の連絡では、本人の事情(つらさ・大変さ)も大切ですが、
上司や会社にとってまず必要なのは、運営のための情報です。
・何時ごろ働けるのか(いつ)
・どこで働くのか(どこで)
・その日、どういう働き方になるのか(どうする)
体調のストーリーを長く話すより、
「結論+時間+働き方」を先に伝えたほうが、上司は判断しやすくなります。
NG例(ストーリーが長い)
「昨日から少し熱があって、夜もあまり眠れなくて、
朝も頭が痛くて、薬を飲んだんですけど、まだ体がだるくて……」
OK例(情報が整理されている)
「本日、発熱のため、午前中は在宅勤務にさせていただきたいです。」
OK例のように、短くても必要な情報が入っていると、
上司は「では在宅で」「では午後から出社で」など、すぐに判断できます。
ミニ解説②:「結論 → 理由」の順にすると、相手が判断しやすい
勤務連絡では、先に結論を伝え、そのあとに理由をそえると、とてもスムーズです。
先に結論を言うパターンの例
- 「本日、電車遅延のため、10時ごろの出社になりそうです。」
- 「本日、体調不良のため、在宅勤務に切り替えてもよろしいでしょうか。」
どちらも、最初に「どうするか(遅れる・在宅にしたい)」が来て、
そのあとに「なぜか(電車遅延・体調不良)」が続いています。
逆に、
「きょうは朝から体調が悪くて、熱もあって頭も痛くて……
それで、在宅勤務にしたいです。」
のように、理由が長く続いてから結論が出てくると、
聞いている側は「で、どうするの?」と感じてしまいます。
ポイント
- ① まず「遅れます/在宅にします/休みたいです」などの結論
- ② 次に「電車遅延のため」「体調不良のため」などの理由を1文で
この順番を意識するだけで、同じ内容でも、ぐっと伝わりやすい日本語になります。
ミニ解説③:勤務連絡の3つのポイント「いつ/どこで/どうする」
勤務状況の連絡は、次の3つをチェックすると整理しやすくなります。
-
いつ(When)
何時ごろ出社か/終日なのか
例:「10時ごろの出社になりそうです」「本日は終日在宅勤務で対応いたします」 -
どこで(Where)
出社か、在宅か、病院か など
例:「本日は在宅勤務に切り替えさせていただきたいです」 -
どうする(What/How)
遅れるのか/勤務形態を変えるのか/休むのか
例:「本日はお休みをいただいてもよろしいでしょうか」
アンさんの会話モデルを見てみると、
この3つが自然に入っていることがわかります。
-
遅刻の電話では
→ 「9時半ごろ到着する見込みです」(いつ)
→ 状況は「本社に出社」(どこで)
→ 「遅れるが、資料は準備済み」(どうする) -
在宅勤務のチャットでは
→ 「9時からオンラインで待機」(いつ)
→ 「在宅勤務」(どこで)
→ 「通常どおり業務対応」(どうする)
この3つが入っていれば、まずはOKです。
細かい日本語表現は、少しずつ整えていけば大丈夫です。
しめ:自分用のフレーズを1つ決めておく
勤務状況の連絡は、長く説明する必要はありません。
「いつ」「どこで」「どうする」を、短くていねいに伝えれば大丈夫です。
アンさんの会話例をヒントに、
自分の仕事に合ったフレーズを1つか2つ決めておくと、
いざというときにも落ち着いて連絡しやすくなります。

