「ビジネス日本語」と聞くと、日本での就職活動にすぐ役立つものだと受け取られることがあります。留学生にとっては、日本語の学習と、応募するときの準備が同時に進むことも多いため、この二つがひとつのもののように見えやすいのかもしれません。
たしかに、重なる部分はあります。しかし、ビジネス日本語と、日本での就職活動は、同じものではありません。
まず理解したいこと
まず理解したいのは、日本での就職活動には、別に理解すべきことがあるということです。
応募書類、面接、自己PR、志望動機など、応募するときには、ことばだけでは整理できない要素があります。何を書くのか、どのように伝えるのか、どのような点が見られやすいのかは、別に理解していく必要があります。
この部分を十分に見ないまま、「ビジネス日本語を学べば、そのまま応募書類や面接にも対応できる」と考えると、学びの位置づけが見えにくくなります。ビジネス日本語は、就職活動そのものを直接扱うものではないからです。
ビジネス日本語で扱うもの
ビジネス日本語で扱うのは、会議、電話、オンラインミーティング、メール、文書、プレゼンテーションなど、仕事や社会の中で必要になる日本語の運用です。
内容は、就職活動だけに限られません。相手との関係、場面の違い、社内と社外の区別、媒体ごとの伝え方の違いなどを見ながら、表現をどう選ぶかを考えていきます。
敬語も同じように考えたい
ここで大切なのは、表現を形だけで覚えることではありません。誰に、どの場面で、どのように使うかを見ることです。この点は、敬語を考えるときにも同じです。
敬語は、形を覚えれば終わり、というものではありません。「敬語を書く」のではなく、「敬語で書く」「敬語で話す」と考えたほうが、実際の運用に近づきます。
相手との距離、立場、場面、媒体の違いを見ながら使うものだとわかってはじめて、敬語は知識ではなく、使う力になっていきます。
では、就職活動とは無関係なのか
だからこそ、ビジネス日本語を学ぶことには意味があります。ただし、その意味は、「これで日本での就職活動がすぐできるようになる」ということではありません。
先に、日本で応募するときには、別に理解すべきことがある。そのうえで、ビジネス日本語の学びが、ことばの選び方や伝え方の土台になる。この順序で考えたほうが、両方の意味が見えやすくなります。
まとめ
ビジネス日本語と、日本での就職活動は、重なる部分はあっても同じではありません。
まず分けて考えること。その上で、ビジネス日本語の学びが、応募するときにも、その後の仕事や社会の中でも、ことばを選ぶ土台になると捉えることが大切だと思います。

