朝、電車の遅延が起きた。あるいは、急に体調が悪くなった。始業に間に合わない、または通常どおり働けないと分かったとき、上司にどう連絡するか。この場面では、日本語の丁寧さだけでは足りません。相手がすぐ判断できる形で伝えられるかどうかが、仕事上の信頼につながります。
1. うまくいかない例
「すみません、電車が止まってしまいました。どうすればいいですか?」
「昨日から熱があって、頭も痛くて、今日は休みたいです」
これらは、自分の状況は伝えています。ただ、上司が知りたい情報が足りません。
- 遅れるのか、休むのか、在宅勤務に切り替えるのか
- 何時ごろ動けそうなのか
- 業務への影響はあるのか
こうした情報が分からないままだと、相手は状況を理解する前に、判断のための確認を追加でしなければなりません。
2. なぜ伝わりにくくなるのか
一生懸命説明しているのに、「で、今日はどうするの?」となってしまうことがあります。これは、伝える情報と相手が知りたい情報が合っていないためです。次の4つの視点から考えてみましょう。
情報
上司は、あなたの状況を直接は知りません。あいまいな説明より、現時点で確定している情報を先に伝える方が分かりやすくなります。
立場
上司は、業務全体を調整する立場です。知りたいのは、つらさの説明ではなく、今日の勤務形態と仕事への影響です。
目的
連絡の目的は、単に謝ることではありません。業務への影響をできるだけ小さくすることです。
判断の伝え方
相手に判断を任せすぎると、どうすればよいか分かりにくくなります。反対に、自分だけで決めると、相談せずに決めたように見えることがあります。判断しやすい材料を整理して示すことが大切です。
3. 改善表現
大事なのは、事情を話すことより、「いつ・どこで・どうする」を短く伝えることです。
① 電車遅延で遅れるとき
「申し訳ありません。電車遅延のため、9時30分ごろの到着になりそうです。」
「遅れます」だけで終わらせず、到着見込みを入れると、相手はその後の対応を判断しやすくなります。
② 遅刻するが、先にできる対応があるとき
「電車遅延のため到着が遅れます。資料はすでに共有しておりますので、先にご確認をお願いいたします。」
今できる対応を一言入れると、自分から対応していることも伝えられます。
③ 在宅勤務に切り替えたいとき
「本日、体調不良のため、在宅勤務に切り替えて対応したいと考えております。」
休むほどではないが、通常どおりの出社は難しい。その状態を伝えやすい言い方です。
④ 欠勤が必要なとき
「体調不良のため、本日はお休みをいただければと思います。急ぎの件があれば、メールは確認いたします。」
「休みます」だけでなく、対応できる範囲を添えると、連絡として整います。
4. 言い方の比較
- 情報が少ない
「遅れるかもしれません」
何時ごろになるか分からず、判断しにくい。 - 適切
「9時30分ごろの到着になりそうです」
到着の見込みが分かり、判断しやすい。 - 自分だけで決めているように見える
「今日は在宅勤務にします」
上司に相談せずに決めた印象になる。 - 調整しやすい
「在宅勤務に切り替えて対応したいと考えております」
希望を示しつつ、相手も判断しやすい。
5. まとめ
勤務連絡で大切なのは、事情を長く説明することではありません。
上司がすぐ判断できる形で、勤務状況を短く整理して伝えることです。

