会議で「言いにくいこと」をやわらかく伝える日本語

定例会議で、進行中の案件について気になる点がある。

しかし、すでに話が進んでいて、今ここで言ってよいのか迷うことがあります。

自分の意見で会議の流れを止めてしまわないか、強く聞こえないかと考えているうちに、結局何も言えずに会議が終わってしまう。

そのような経験はないでしょうか。

会議では、内容を理解していることも大切です。

ただ、それだけではなく、話にどう入るか、どのくらいの強さで意見を出すかも大切になります。

1. ビジネス場面提示:言いにくいことほど入り方が大切

会議で発言のタイミングを逃してしまうのは、単なる遠慮ではありません。

まわりの人の発言や、会議の流れをよく見ているからこそ、言い出しにくくなることがあります。

しかし、何も言わないままでいると、「意見がない」「参加していない」と受け取られることもあります。

大切なのは、強く言うことではありません。

場の流れに合う入り方を選び、自分の意見を出しやすくすることです。

2. うまくいかない例:正しくても強く聞こえる

たとえば、議論の途中で急に次のように言うことがあります。

  • 「私はこう思います。」
  • 「その意見には反対です。」
  • 「もっと別の方法を考えるべきです。」

文法としては間違っていません。

意味もはっきりしています。

ただ、会議の場では、少し強く聞こえることがあります。

特に、上司や他部署の人がいる場では、内容だけでなく、話に入るときの一言で印象が変わります。

3. なぜ自然に聞こえないのか

日本語が間違っていなくても、会議では少し強く聞こえたり、急に話に入ったように聞こえたりすることがあります。

それは、言葉の正しさだけでなく、場面に合っているかどうかも大切だからです。

相手との関係

日本の会議では、相手の意見を受け止めながら自分の考えを出すことが大切にされます。

いきなり結論を言うと、内容が正しくても、相手の意見を否定しているように聞こえることがあります。

まずは「今の点に関連して」「確認も兼ねて」のように、話に入るための一言を置くと自然です。

自分の立場

会議では、全員が同じ立場で話しているわけではありません。

上司、先輩、担当者、他部署の人など、相手との関係によって言い方を少し変える必要があります。

自分の意見を「正解」として出すよりも、「一つの考え」として出すと、受け取られやすくなります。

たとえば、「〜すべきです」よりも、「〜という方法もあるかと思います」の方がやわらかく聞こえます。

会議の目的

会議の目的は、自分の意見が正しいことを示すことではありません。

次に何をするかを決めたり、よりよい方法を考えたりすることです。

そのため、相手を否定する言い方よりも、判断材料を一つ加える言い方の方が合いやすくなります。

「反対です」と言うよりも、「この点は少し確認が必要かもしれません」と言う方が、話し合いを続けやすくなります。

言い方の強さ

日本語には、意見の強さを調整する表現があります。

たとえば、「反対です」はかなりはっきりした言い方です。

一方で、「別の見方もあるかと思います」「少し気になる点があります」は、やわらかく意見を出す言い方です。

会議では、最初から強く言うよりも、少しやわらかく入る方が話を続けやすくなります。

4. 改善表現:言いにくいことを伝える一言

言いにくいことを伝えるときは、いきなり結論を言うのではなく、話に入る一言を置くと自然です。

ここでは、会議で使いやすい5つの形を紹介します。

① 発言の入口をつくる

「一点、確認も兼ねてお伝えしてもよろしいでしょうか。」

「今の点に関連して、少し補足してもよろしいでしょうか。」

急に意見を言うのではなく、まず話に入るための一言を置く表現です。

このように言うと、会議の流れを止めずに発言しやすくなります。

② 観点として提示する

「運用面から見ると、少し厳しいかもしれません。」

「スケジュールの観点では、再確認が必要かと思います。」

自分の意見を強く出すのではなく、「一つの見方」として伝える表現です。

会議の判断材料として受け取られやすくなります。

③ 反対をやわらかく出す

「その点は理解できますが、別の方法も考えられるかと思います。」

「方向性としては理解できますが、進め方は少し検討の余地があるように思います。」

反対したいときも、相手の意見を一度受け止めてから、自分の考えを伝えると自然です。

「反対です」と言い切るよりも、話し合いを続けやすい言い方になります。

④ 判断を急がず、慎重さを示す

「現時点では、少し慎重に見た方がよいかもしれません。」

「この段階では、まだ判断を急がない方がよさそうです。」

すぐに決めるのが難しいと感じたときに使いやすい表現です。

否定ではなく、確認が必要だという姿勢を示すことができます。

⑤ 次の動きにつなげる

「必要であれば、別案を整理して共有します。」

「この点は、私の方で一度整理して、次回までにお持ちします。」

意見を言うだけで終わらず、次にできることを添える表現です。

会議のあとにどう動くかが見えるため、前向きな印象になります。

5. まとめ

会議で大切なのは、日本語が正しいかどうかだけではありません。

相手との関係や自分の立場に合わせて、言い方の強さを調整することも大切です。

意見を言うときは、いきなり結論を出すのではなく、まず話に入る一言を置いてみましょう。

そして、「一つの見方」として伝えると、会議の流れに入りやすくなります。

強く言わなくても、必要なことは伝えられます。

場に合う形に整えることで、会議で発言しやすくなります。

門永 美保

ビジネス日本語講師

日本語教師養成講座420時間修了。2015年4月から現在まで、京都府内大学の留学生を対象としたビジネス日本語の講義で非常勤講師を務めています。

2023年からは日系企業に就職したい・就業している世界中の人へ向けたビジネス日本語のオンラインレッスンを展開。

留学生の就職支援業務の経験もあり、ビジネスマナーも含めたアドバイスを行えます。

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