留学生の就職活動は、早く始めればよいだけではない

行動パターンから見える、納得できる選択のために

日本で就職活動をする留学生に対して、よく言われることがあります。

「早く準備を始めましょう」
「早めに動いた方がいいです」

これは、たしかに大切です。

日本の就職活動では、説明会、エントリー、書類提出、面接など、一定の流れがあります。情報を集めるのが遅れると、応募できる企業が少なくなることもあります。

ただし、早く始めれば必ずうまくいくわけではありません。

反対に、始める時期が少し遅くても、そこから自分の考えを整理し、行動を変えていく人もいます。

就職活動で大切なのは、いつ始めたかだけではありません。

何を考えながら動いているか。
自分の選択を、どのように言葉にできるか。

そこが重要になります。

早く動ける人にも違いがある

就職活動を早く始める留学生はいます。

早くから説明会に参加し、企業を調べ、応募書類を準備している人です。

ただ、同じように早く動いていても、中身には違いがあります。

自分がどのような仕事をしたいのか。
なぜ日本で働きたいのか。
どのような環境なら力を出せそうか。
自分の経験を、企業にどう伝えるか。

こうしたことを少しずつ考えながら動いている人は、就職活動の中で自分の言葉が育っていきます。

一方で、情報はたくさん集めているけれど、自分の考えとして整理できていない場合もあります。

例文を見て書類を作る。
人に言われた通りに直す。
面接で聞かれそうな答えを覚える。

もちろん、最初はそれでもかまいません。

しかし、そのままでは、自分の考えが相手に伝わりにくくなります。

就職活動では、正しい答えを覚えるだけでは足りません。

自分の経験や希望を、自分の言葉で説明する必要があります。

行動しながら考えが整う人もいる

反対に、最初から準備が十分ではない人もいます。

自己分析ができていない。
志望業界がはっきりしていない。
応募書類もうまく書けない。
面接で何を話せばよいかわからない。

それでも、行動しながら少しずつ変わっていく人がいます。

企業説明会に参加して、自分が関心を持つ仕事に気づく。

応募書類を書いてみて、自分の経験の伝え方を考える。

面接でうまく話せなかったことから、次に準備することが見えてくる。

就職活動は、最初からすべてを決めてから始めるものではありません。

動きながら、自分の考えを整えていく面もあります。

大切なのは、行動したあとに振り返ることです。

なぜうまくいかなかったのか。
何が伝わらなかったのか。
次はどのように話せばよいのか。

この振り返りができる人は、始めた時期が少し遅くても、就職活動の中で変化していきます。

遅れた理由を、時期だけで見ない

就職活動が遅れたとき、「もっと早く始めればよかった」と考える人は多いです。

もちろん、早く動くに越したことはありません。

けれども、開始時期だけを見ても、問題は見えてきません。

なぜ動けなかったのか。
何を迷っていたのか。
どの情報が足りなかったのか。
何を決められなかったのか。

そこを見ないまま、「早く始めましょう」で終わると、同じことを繰り返してしまいます。

就職活動が遅れる背景には、さまざまな理由があります。

研究や授業が忙しい場合もあります。

日本の就職活動の流れがわかりにくい場合もあります。

自分が日本で働きたいのかどうか、まだ整理できていない場合もあります。

そのため、遅れたこと自体を責めるよりも、まずは状況を整理することが必要です。

今、何が決まっているのか。
何がまだ決まっていないのか。
どこから行動できるのか。

ここを確認することで、次の一歩が見えやすくなります。

チャンスは、待っているだけでは広がりにくい

就職活動では、情報や機会を待っているだけでは、なかなか前に進みません。

「よい企業があれば教えてください」
「自分に合う仕事を紹介してください」
「何をすればいいですか」

このように聞きたくなる気持ちは自然です。

不安があるときほど、誰かに答えを示してほしくなります。

ただ、就職活動では、自分から動くことも必要です。

相談する。
話を聞いたあとに、自分で調べる。
紹介された情報を確認する。
一度決めたことを実行する。
うまくいかなかった理由を振り返る。

こうした小さな行動の積み重ねが、次の機会につながります。

チャンスがめぐってくる人は、特別な人とは限りません。

周りの人に自分の状況を伝え、必要なときに相談し、聞いたことを行動に移している人です。

就職活動では、人との関係も大切です。

しかし、それは誰かに決めてもらうという意味ではありません。

自分の考えを伝え、助言を受け取り、自分で次の行動を選ぶということです。

納得できる選択には、言葉にする力が必要になる

就職活動では、最終的に自分で選ぶ場面が出てきます。

どの企業に応募するのか。
どの仕事に関心があるのか。
内定を受けるのか。
別の道を考えるのか。

そのときに必要になるのは、自分の考えを整理する力です。

「有名な会社だから」
「日本で働きたいから」
「周りの人が勧めたから」

これだけでは、自分にとって納得できる選択になりにくいことがあります。

自分は何を大切にしたいのか。
どのような環境で働きたいのか。
なぜその仕事に関心があるのか。
自分の経験を、どのように仕事につなげたいのか。

こうしたことを考え、言葉にしていく必要があります。

特に、日本語で就職活動をする場合、自分の考えを日本語で伝える力が求められます。

これは、単に正しい日本語を使うという意味ではありません。

相手にわかる順番で話すこと。
自分の経験と応募先をつなげて説明すること。
曖昧な気持ちを、少しずつ言葉にすること。
相手の質問に合わせて、伝え方を調整すること。

これらも、就職活動の中で必要になる日本語の力です。

早さよりも、考えながら動くこと

就職活動は、早く始めることが大切です。

しかし、早さだけで結果が決まるわけではありません。

早く始めても、自分の考えが整理できていなければ、途中で迷うことがあります。

始める時期が遅くても、行動しながら考えを整理できれば、次につながることがあります。

大切なのは、考えながら動くことです。

そして、動いたあとに振り返ることです。

就職活動は、内定を得るためだけの活動ではありません。

自分が何を大切にしたいのかを考える時間でもあります。

自分の経験を、日本語で相手に伝える練習の場でもあります。

日本で働くことを、自分の選択として考える機会でもあります。

早く始めることは、もちろん大切です。

でも、それだけでは十分ではありません。

納得できる選択につなげるためには、自分の判断基準を持つこと。

行動しながら考えを整えること。

そして、自分の言葉で伝えること。

留学生の就職活動では、この3つがとても大切です。

※この記事は、過去に公開した留学生の就職活動に関するコラムをもとに、現在の方針に合わせて再構成したものです。

門永 美保

ビジネス日本語講師

日本語教師養成講座420時間修了。2015年4月から現在まで、京都府内大学の留学生を対象としたビジネス日本語の講義で非常勤講師を務めています。

2023年からは日系企業に就職したい・就業している世界中の人へ向けたビジネス日本語のオンラインレッスンを展開。

留学生の就職支援業務の経験もあり、ビジネスマナーも含めたアドバイスを行えます。

外国人・留学生のためのビジネス日本語オンラインレッスン

外国人・留学生向けのビジネス日本語オンラインレッスン

仕事に活かせるビジネス日本語を身につけましょう!

ビジネス日本語のオンラインレッスンを受ける女性

京都キャリアネットでは、日本企業で働いている・働きたい世界中の人たちへ向けて、ビジネス日本語のオンラインレッスンを行っています。

このような人におすすめのレッスンです

  • 日常会話は問題ないが仕事の話についていけないことがある
  • 入社前に仕事でも通用する日本語を身につけたい

担当するビジネス日本語講師は、留学生の就職支援のプロでもあります。

ビジネス日本語の学習だけでなく、日本独自のビジネスマナーや就職活動についてのアドバイスもお任せください。

お問い合せ