研修を受けたいとき、上司にはどう話すか

1. 場面

今の仕事に役立ちそうなオンライン研修や講座を見つけたとき、「受けてみたい」と思うことがあります。

でも、上司にどう話せばいいのかで迷う人は少なくありません。「自分の勉強なのだから、わざわざ相談しなくてもいいのでは」と思うかもしれません。

ただ、日本の職場では、仕事に関係する学びほど、「一人で決めること」より「先に相談すること」が大切にされる場面があります。

2. うまくいかない例

「部長、仕事に必要な力を身につけるために、このデータ分析の研修を受けたいと思っています。いいでしょうか。」

前向きな気持ちは伝わります。しかし、この言い方だと、上司には少し答えにくく聞こえることがあります。

上司が気にするのは、「本人が学びたいか」だけではありません。「今の仕事にどうつながるのか」「時間の調整はどうするのか」。こうした点が見えないと、話を進めにくくなります。

3. なぜ伝わりにくくなるのか

なぜ、前向きな話がうまく届かないのでしょうか。上司と本人では、考えていることが少し違うためです。次の4つの点から見てみましょう。

見ている範囲

本人は「自分の成長」を中心に考えますが、上司は「チーム全体の仕事」を考えます。見ている範囲が違うため、同じ言葉でも受け取り方が変わります。

考える役割

部下は「受けたい研修の内容」を考えますが、上司は「仕事にどう影響するか」を考えます。上司は一人の希望だけでなく、仕事全体の流れの中で考える立場です。

相談の目的

本人の目的が「知識を増やすこと」であっても、上司が知りたいのは「その学びが仕事にどう役立つか」です。「自分のため」を「仕事のため」に言い換えて話せるかが大切です。

相談の伝え方

「受けたいです」は、すでに自分で決めたように聞こえることがあります。「受講を検討しているのですが」と少しやわらかく伝えると、上司も意見を伝えやすくなります。

4. 改善表現

伝える内容を分けて考えると、上司にも話しやすくなります。

① 最初に相談したいことを伝える

「データ分析について学べる研修があり、今の業務にも役立ちそうだと感じています。少しご相談してもよろしいでしょうか。」

② 今の業務との関係を伝える

「現在担当しているレポート作成でも使えそうな内容だったため、受講を検討しています。」

③ 受講する時間について伝える

「業務時間外に受ける予定ですが、一度お伝えした方がよいと思い、ご相談しました。」

比較してみましょう。

  • 伝わりにくい言い方
    「自分のスキルアップのために受けたいです」
  • 伝わりやすい言い方
    「今の業務にも関係する内容で、受講を検討しており、ご相談したいです」

5. まとめ

研修について相談するときに大切なのは、「学びたい気持ち」を仕事への貢献につなげて伝えることです。

門永 美保

ビジネス日本語講師

日本語教師養成講座420時間修了。2015年4月から現在まで、京都府内大学の留学生を対象としたビジネス日本語の講義で非常勤講師を務めています。

2023年からは日系企業に就職したい・就業している世界中の人へ向けたビジネス日本語のオンラインレッスンを展開。

留学生の就職支援業務の経験もあり、ビジネスマナーも含めたアドバイスを行えます。

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