留学生が本格的に日本で一般企業に就職し始めたのは、2000年代に入ってからのことです。もちろん、それまでに卒業・修了後に就職した人たちもいますが、留学生が母国に帰らずに、日本で就職するという選択肢が当たり前のようにとらえられるようになったのは、ここ10年のことです。
2000年代に入って就職した人たちが、現在も継続的して日本で滞在しているのをみると、日本で就職したい後輩にとってはロールモデルになるでしょう。しかし当人にとっては、キャリアの分岐点に立っている状況のようです。今の仕事でいいのか、家庭をもつのか、子どもをもつのか、帰国するのかなど、いろいろな悩みを抱える年代になってきました。
先日、日本で就職してもうすぐ5年経つ元留学生が“ロールモデルがいない”とポツリと言ったとき、ハッとさせられました。留学生が日本で就職したら私の役割は終わりではなく、就職後の人たちのサポートをすることも、キャリアサポートの重要な役割のはずです。元気かな、仕事辞めないで続けているのかなと気にはかけていますが、実際にキャリア相談を受けたりなどの具体的な行動には移せていません。
今後、私はロールモデルの不在で起きる悩みや不安を少しでも解消できるよう、なにか手立てを考えていきます。