京都に縁もゆかりもないのに、京都で就職したいという人に、国籍問わず出会います。京都市内の大学出身であっても、社会的資本を確立するのは難しく、その状況で就職活動をすることは案外難しいものです。
山田ズーニーは『就職の選択―先入観をわるための3つの問い』で、大学卒業と同時に就職をするときに、「働く私が輝く場所はどこか?」を考えてもよかったなと振り返って、「県外に出ないというのは、思い込みで、それ以外の選択肢に目を向けることをサボる、隠れ蓑にすぎなかった」と語っています(山田 2017)。
もちろん、どこで働くのかを自分で決めることは個人の自由です。しかし、「働く私が輝く場所はどこか?」の「場所」は、ある特定の地域を指すのではなく、社会(企業)の一員として役割の果たせる「立場」を指していると考えます。やはり、最優先にする選択事項は、自分の目指す将来像とつながる業務ではないでしょうか。
「京都で就職したい」と主張する人は、「京都でさえ働ければ私は幸せになれる」という先入観で凝り固まってしまいがちです。これまで、京都(地域)で働くことを選択肢の最優先にすることで、就職機会をことのほか失っている学生をみてきました。企業で実力を認められてから、京都に戻ってくる(転勤願いを出す)ことを目指した方が、チャンスがあるような気がします。また、別の選択肢を優先し、それを実現しようとしたら京都の企業だったであれば問題はありません。京都(地域)を日本に置き換えても、同じことが言えるでしょう。
もう一度、「日本で就職すること」の動機はなにかを考えてください。
〈参考URL〉
山田ズーニー『おとなの小論文教室』
http://www.1101.com/essay/2017-12-06.html