以前、出身国が最重要な採用基準と考えられる事例をご紹介しました。今回、いわゆるニーズの高まっている国出身で、求人に目移りする前に、まずは現職の状況を理解させ、転職を思いとどまらせようとしている事例をあげます。
転職したい…
もっと技術を身に付けたい、今の業務内容では思うように身につけられないということで、転職を希望していました。確かに、すぐさま研究開発職になれるかといえば、そのような業務内容ではないといえます。しかし、職務経歴や年齢をみると、あまり転職は勧められません。そこで、職場の様子やこれまでの人事のやりとりをじっくりとヒアリングしました。すると、本人は気づいていませんでしたが、そのままその企業で継続して働いた方が、確実に研究開発職になれるだろうと想定できたのです。
新卒採用のように社内研修がある
外国人だからその業務内容をさせているのではなく、日本人の新卒社員だったり、中途採用の未経験者であっても、必ず経験させる業務内容だろうと考えられ、間違いなくその企業は日本人と同等の社内研修をその外国人社員に受けさせていると判断できたからです。この企業の担当の方が外国人社員には日本人社員以上に、繰り返しキャリアパスを直接説明してくれたらよかったのにと思いました。でも、言わなくてもわかるという発想だったのでしょう。私から、この企業はあなたに将来は研究開発職で働いてほしいと考えていると伝え、転職はとどまるようにはアドバイスしました。でも、私の言ったこと、きちんと理解できているのかなと今も不安は残っています。
決断は慎重に
日本の企業は、最初はやりたいことと直結しているとは思えない業務内容をやらされることは往々にしてあります。やりたいことができないと思って、すぐに辞めてしまうのは早計です。特にニーズが高まっている出身国の方は、求人がたくさんあるからといって、転職を安易に考えないでください。このケースのように、自分の望むキャリアがかなう場所がすぐ足元にあるのに、実態のない遠くばかりを見ている人が存在して、なんだかもったいないなあと思うことが起きています。