「また今度ね」は本気?社交辞令を超えて関係を深めるコツ

日本人との日常会話の中で、「じゃあ、また今度ね」という表現に戸惑ったことはありませんか?この言葉を文字通り受け取って、「じゃあ、いつにします?」 とスケジュール帳を取り出すと、相手が慌てた、という経験を持つ留学生もいます。こうした経験を2回、3回と繰り返すうちに、多くの留学生はこの表現が単なる社交辞令であると気づき、深く考えずに流せるようになるようです。

しかし、私はこの現象を少し残念に思うことがあります。もし日本人がその言葉をかけたことで、相手が「誘ってくれた」と感じ、嬉しく思ったのであれば、本音と建前を気にせず、自分の気持ちに素直に行動しても良いのではないかと思うのです。過度に空気を読もうとすると、いつまでたっても親しい関係を築くことができません。

もちろん、日本にいる以上、日本人特有のコミュニケーションスタイルにある程度適応することも必要かもしれません。しかし、もし「そんなこともわからないの?」というような態度を取る日本人と出会った場合、無理に付き合う必要はありません。むしろ、自分らしいスタイルを大切にしながら関係を築いていく方が、より自然で充実した交流ができるのではないでしょうか。

そこで、一つ提案ですが、すべての社交辞令をそのまま受け流すのではなく、3回に1回くらいは 「私は、○○日なら空いていますよ!」 とさらっと伝えてみるのはいかがでしょうか。実際に、相手が本当に会いたいと思っている場合もありますし、日本人の中にも積極的に誘われるのを待っている人が少なからずいます。こうしたちょっとした行動の変化が、新たなつながりを生むきっかけになるかもしれません。

私自身の考えとしては、日本の社交辞令の文化を理解しつつも、外国人の方が自分のスタイルを貫くことができる環境がもっと広がればいいなと思っています。結局のところ、コミュニケーションは一方通行ではなく、互いのスタイルを尊重し合うことでより豊かなものになるはずです。

この点について、私自身も印象的な経験があります。香港の知人との会話の中で、なんとなく「香港に行きたい」と言ったところ、「じゃあいつ来る?」と即座に具体的な日程を聞かれたことがありました。私はもともと旅行があまり好きではないのですが、この言葉に背中を押され、実際に香港を訪れることになりました。このように、相手の言葉を社交辞令と決めつけずに受け止めてみることで、新しい経験や人とのつながりが生まれることもあるのだと実感しました。

Kyoto Nihongo Hub

ビジネス日本語講師

日本語教師養成講座420時間修了。2015年4月から現在まで、京都府内大学の留学生を対象としたビジネス日本語の講義で非常勤講師を務めています。

2023年からは日系企業に就職したい・就業している世界中の人へ向けたビジネス日本語のオンラインレッスンを展開。

留学生の就職支援業務の経験もあり、ビジネスマナーも含めたアドバイスを行えます。

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