留学生が日本人と同様に就職活動をスタートし内定を得て就職をしても、日本人以上に早期離職にいたっているというデータがあります。確かに、日本以外の国では転職することは当たり前ですが、終身雇用の考えが根強い日本では転職に対してマイナスなイメージもあります。そのため、日本で早期離職をすると、今後のキャリアや転職活動が不利になることも考えられます。
そのような事態を避けるために、長く働ける会社や職種を選ぶなど、長期のワークキャリアを想定した就職活動を行うことが大切です。
留学生の就職率は、ここ数年上昇している
リーマンショックの影響を受けて、2014年まで留学生の就職率は約30%未満を推移していました。しかし、企業の留学生採用に関心が年々高まったことや、在学中に就職活動をしなければならないという日本独自の慣習が、大学や行政、民間の就職支援によって留学生に認知され応募機会が増えたことから、この2、3年は就職率が上昇しています。
一方で、留学生の就労先の業態や業務内容にも変化が見られます。主にインバウンドを中心としたサービス業での認可が増加していますが、企業側の主な採用理由は人手不足を解消するための場合も多く、外国人留学生のスキルやキャリアを見込んだ採用だとは思えないケースも見られます。しかし、留学生側もとにかく就労の在留資格が欲しいと考え、スキルやキャリアを見込んだ採用でなくても「とりあえず就職する」といった考えで入社を決める場合も。一見、両者の利害が合致していると言えるかもしれませんが、長期的にみると決して良い状態とはいえません。
近年、留学生の「就職支援」から「定着支援」へという視点から、留学生の離職に関する調査も行われるようになりました。一例ですが、マイナビの『2017年卒 企業外国人留学生採用調査』によると、入社後2年以上5年未満で離職する人が最も多く、離職理由として「キャリアパスを描けていなかった」とあげています。離職理由については企業側の回答で、企業側からも外国人従業員に対してキャリアパスを明確に提示したのかという疑念もありますが、多くの人が明確なキャリアプランを抱けてなかったことは事実と言えます。
「内定」はゴールではなく、働く上での「通過点」にすぎない
終身雇用の考えが根強い日本では、新卒で入社したら定年まで継続して働くことが当たり前と考えられてきました。それでも近年は、キャリアアップやスキルアップのために転職をすることが受け入れられるようになっています。とはいえ、3年〜5年以内での短期間で離職をするのは、今後のキャリアにプラスになるような経験をしたとは受け取ってもらえないかもしれません。
就職活動の対策や戦略ばかりに意識を向けがちですが、卒業後のワークキャリアの方が長く続くことを頭に置いて、長期的なキャリアプランに必要な経験や、今できることは何かを考えながら就職活動を進めていきましょう。
<参考資料>
株式会社マイナビ『2017年卒 企業外国人留学生採用調査』