内定とは…
正式な発表の前に、内々には決まっていることや、うちわで決めるという意味です。
日本の新卒採用の場合、学生の在学中に企業と卒業後に仕事を開始するという取り決めをします。4月の正式入社まではうちわでの取り決めと言いながらも、学生側(承諾書など)と企業側(採用予定書など)の間で、正式に書類で労働契約が結ばれます。
2年前、ある京都の大手企業から“他の企業への応募を辞めてくれない?”と言われた留学生がいました。暗黙に“内定”と言っていると考えられますが、日本人の私でさえも同じ立場であれば、あわててしまっただろうと思います。だから、ノン日本語ネイティブの留学生はますます、不安だったでしょう。口頭で内定と言われても不安であれば、できるだけ早く企業に書面で明らかにしてもらうようにお願いしてください。
入社できるのは1社です。内定をいくつかもらうと、その中から良い企業を選択したいと考えている人もいると思います。しかし、複数の企業から内定をもらった場合、1社以外の企業の内定は断らなければなりません。そのときには、企業にきちんとした理由を伝えて、辞退を受け入れてもらうことが必要です。入社する企業ではないからと、決定を先送りにする、返事をせずにそのままやり過ごすというようなことはないようにしてください。
辞退の理由を“両親のいずれかが重病になって帰国しなければならなくなった”と嘘をつくことはどうかと、アドバイスを求められたことがありました。その留学生にとっては、※嘘も方便と考えていたようです。でも、私は人の生死にかかわる、しかもご両親を使っての嘘は、方便にならないと考えています。本当に世間は狭いもの。つまらない嘘をついて、不誠実な態度をとってしまった相手と、将来、どこでどうつながっていくかわかりません。就職活動をする中で、すでに社会人の一歩をふみだしています。辞退の表現方法は、学校の就職課や周りの日本人に相談するなど、社会人としてふさわしい行動をとるようにしてください。
※ 嘘も方便
嘘をつくことは悪いことだが、時と場合によっては必要なこともあるということ。