マナーをこんな風にとらえて欲しいなと思い、ちょっと変わったアプローチからお話ししていきます。
これまで、多くの留学生と就職相談で出会ってきました。2度ほど、就職相談中にガムを噛んだままの留学生と遭遇するという経験をしました。注意をすると、1度目は、噛むことはやめたのですが、それでもガムは奥歯にはさんだまま。ある意味、そのまま話を続けようとするのは、チャレンジャーだと思いましたけど。2度目は、イライラする気持ちを抑えるためには、ガムが必要で、噛むことはやめられない、いちいちそんなことを注意する日本社会の方がおかしいと言われました。
私が不快な気持ちになったことは言うまでもありません。それ以上に、日頃からやらないことを、緊張している場面でいざやろうとすれば、失敗する可能性が高いということを、この2人は分かっていない方が大きな問題です。多分、大事な場面、例えば面接で何かしらミスをおかすだろうなと想像できます。
マナーとは、相手と自分が互いに気持ちよく、時間や場所を共有するためのもの。厳密なルールに従って行動をしなければならないというより、一緒にいる人たちとうまくやっていくためのコミュニケーションの一つと考えられます。
お辞儀の仕方で、この場面では頭から肩、腰までの角度はこれ位という目安はあります。しかし、気持ちがこもっていなければ、そんなことは全く意味をなさないでしょう。自分の気持ちを伝え、相手にどう思ってもらいたいのかを想像しながら、行動で表すことを心がけることが、本当のマナーではないでしょうか。