はじめに
1984年に入管法が改正され、留学生が卒業後も引き続き日本企業等に就職できるようになり、日本で就職する留学生も見られるようになりました。1990年の入管法の改正では、現在のように留学後に帰国せずそのまま就労可能な在留資格変更をすることができるようになり、徐々に就職率は上昇しました。この時期は、日本社会がグローバル化の進展に遅れないようにと危機感を募らせていた頃です。2000年代後半になると、留学生の採用人数は増加しているものの、就職率にすると30%前後です。現在もその就職率は上昇していません。日本は新卒一括採用という雇用習慣が根強く、多くの企業が未経験であっても若い人を採用します。世界的に見ても日本の若年層の就職率はかなり高いので、同年代で比較すると留学生の就職率は低いと言えるでしょう。
留学生側の状況
留学生の日本で就職活動をするうえで障害となるものは、筆記試験や就職活動の開始時期の早さでしょうか。しかし、就職活動をスタートさせていても、なかなか内定をもらえない留学生がいたときに、開始時期が遅いことが問題ではなく、開始時期の遅い人にある一定の傾向があると気づきました。そもそもなぜ働くのかが、いくら聞いても出てこないのです。企業も応募書類や面接で、その留学生が入社後にどのように働くのかを想像できないので、内定を出せないのでしょう。一方、就職活動の開始時期が遅くても、働くこと、そしてなぜ日本なのかが自分の中で明確にあると、企業にその思いがしっかりと伝わり、採用したいとなるようです。
企業側の状況
国籍に関係なく優秀な人材を獲得するためとしているものの、やはり日本人を採用することが大前提から抜けきれない企業も存在します。しかし、企業の採用基準よって留学生が採用されたことで、新入社員の外国人の占める割合が上昇している企業も増えています。留学生採用企業は、企業の規模で差がでるわけではないので、中小企業でも従業員の半分近くが外国人というところもあります。しかし、中小企業の中には毎年、新卒採用があるわけではありません。留学生の採用実績があったからと応募する前に、企業の採用計画を確認することが必要です。