留学生の自己PRと日本語の表現

言語のニュアンスのギャップ

ある言語を別の言語に100%完全に同一の意味へ通訳や翻訳することは不可能という考えを持っています。2つの異なる言語の間には、必ずニュアンスのギャップがあって、”〇(日本語)≒◎(別の言語)”と”≒”の中で言語コミュニケーションをとっていると想定しています。おおむね、”≒”の通訳や翻訳で、十分に意図を伝えることができ、さほど問題が起きることはありません。しかしまれに、意図するところは”≒”の部分からはずれているところに隠されて、ニュアンスのギャップが生まれているのでは?と思うケースがあります。
※ 私は、言語学や文化人類学を専門に学んだわけではありませんので、概念として理解しているわけでもないし、そもそも、そんな概念があるのかも知りません。ですので、あくまでも経験による私見で、理論的に証明できたわけでないことを念頭においてください。

自惚れ(うぬぼれ)と自信

これまで、自己PRで”何々できます”や”何々能力があります”といった表現は、日本人にとってはただの”自慢話”にとらえられるので、表現をかえるようにとアドバイスをしてきました。このようにアドバイスした理由は、日本人が謙遜(けんそん)を美徳としているからではなく、聞き手、読み手にとってはこれらの表現方法では情報が足りず、評価する根拠とならないからです。また、話し手、聞き手との間に、結果の判断基準にギャップが生まれやすく、共感しづらいからです。しかし留学生にとっては、この説明では分かりづらく、難しいと言われることが多々ありました。
ふと、本当に留学生は鼻高々に自慢したいのだろうか?と疑問に思って、本当は”≒”のギャップにこそ、何か大事なことがあるのではと、あれこれ考えてみました。他人にとっては評価する根拠がないただの”自惚れ(うぬぼれ)を表現しているのではなく(中には自惚れている人もいますが)、自分対して”自信”があることを伝えたいと考えているのではないでしょうか。そのために”自分の行動に自信を持っている”ことを、”何々できます”や”何々能力があります”を”≒”で表現できると誤解しているのかなと分析しているところです。

就職活動のいろいろな場面において、過度に謙遜するよりは、誇張しても”自信”がある姿を見せることが必要なので、留学生が自信のある前向きな姿を伝えたいと思うことは、全く問題ありません。だからこそ、聞き手、読み手とギャップがなく、共感できる表現にかえることが必要でしょう。

”自信”があることを他人がとやかく言うものではありません。”自信”で裏づけされた自己PRで就職試験がNGだったとしても、自己PRが評価されたのではなく、企業と合わなかったと分かって、がっくりすることはなくなるかと思います。

 

 

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