留学生と自己分析(1)

なぜ、「自己分析が足りない」と言っている人にウンザリしているのか?

そもそも、就職活動は企業から内定をもらうことが目的ではなく、ワークキャリアをスタートさせることが目的と考えています。
それなのに、「自己分析」至上主義だと、自分の長所を言えなかったり、応募する企業が見つけられないと就職できない、つまり、内定がゴールと考えているのかなと思えるんです。
確かに、自分はどんな人間で、どんなことに興味や関心があるのかを言語化するには、過去を振り返り、未来をみすえて、現在の自分を知ることは必要です。まあ、それが「自己分析」なんだという声が聞こえてきそうですが。
まずは、香川めい『「自己分析」を分析する』(苅谷・本田編 2010)を参考に、「自己分析」至上主義は何が問題なのかを明らかにしたいと思います。

「自己分析」が出現したのは?

バブル経済が崩壊したあとの就職氷河期に出現したらしい。それ以前にも、企業の採用は学歴重視から人柄重視へと考えられつつあったので、自分の人柄を応募書類や面接で主張することがあったようだ。就職氷河期は、企業から選ばれる人材を分析して、自分自身の中から見つけだしてエピソードを作りあげるためのものだった。
その後、「やりたいこと」や「なりたいこと」の探索のために必要と考えられるようになり、現在も続いている。

何が問題か?

「やりたいこと」や「なりたいこと」がないと、これからの人生真っ暗というような強迫観念に囚われる。
「やりたいこと」や「なりたいこと」にこだわり過ぎて、「とにかく、やってみる」ことが出来なくなる。
自分にピッタリ合った理想の仕事が、この世の中にあたかも存在していて、探せば必ず見つかるというような錯覚に陥る。
最低限、「自分はどんな人間」を言語化するは必要です。しかし、完璧に「やりたいこと」や「なりたいこと」の計画を立てる必要はないと考えています。
〈参考文献〉
香川めい,2010「『自己分析』を分析する」苅谷剛彦・本田由紀編『大卒就職の社会学』東京大学出版会.

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